ドローンで橋梁を点検する方法とそのメリット・今後の課題を解説
日本全国には約72万もの橋梁があり、これらは5年に1度の点検が義務付けられています。しかし、作業員の目視による従来の点検ではお金や時間がかかるため、「安全」に直結する問題にも関わらず点検作業が思い通りに行えていない所が存在します。そこで、コストを削減しつつより精密に点検する方法が考案されているのですが、その中でもドローンを活用した橋梁点検に注目が集まっています。そこでこの記事では、ドローンを使った橋梁点検のメリットと今後の課題を紹介します。
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橋梁点検の現状
橋梁はその特性上、高所や海や川の上に設置されることが多く、そのような場所で長時間作業を行うことは容易ではありません。従来は、ブリッジチェッカーと呼ばれる特殊車両を使用する点検方法と、作業員が命綱を使って直接点検箇所に向かう方法の2つがありました。しかしながら、どちらの方法においても、
- 一時的に交通規制が必要
- 作業員のリスクが高い
- コストが過度にかかる
- 作業効率の低下
など、様々な問題が懸念されています。
ドローンを使用した橋梁点検
従来の橋梁点検において問題となっていた点を解決する方法として、ドローンを使用した点検が注目を集めています。ドローンは空中に停止しながら映像を確認・記録できるため、高所に位置するインフラ点検に適しており、最先端技術の赤外線カメラを使用することで作業員が目視で確認するよりも精度の高い点検が可能です。
具体的には、ドローンで得た画像情報を画像認識技術やAIで解析することで、広範囲にわたる橋梁のひび割れ、浮き、劣化などの損傷を一度に検知することができます。その後、必要に応じて作業員が直接目視や打音検査を行います。従来のように人間の力だけでは、膨大な時間と費用がかかる橋梁点検に対して、ドローンを使用することで効率的に異常を検知できるようになりました。
ドローンを使用して橋梁点検を行なうメリット
国土交通省道路局によると、日本全国には約72万の橋梁が存在しているとされています。これらのインフラには、5年に1度の点検が義務付けられていますが、このような数の橋梁を人間だけで点検することは非常に困難です。そのため、ドローンを用いて効率的な点検を行うことが不可欠とされています。また、ドローンを使用することによって得られるメリットは、効率性だけでなく、以下のようなものがあります。
- 安全に作業ができる
- 点検精度を上げられる
- コストを削減できる
それぞれ詳しく解説していきます。
安全に作業ができる
ドローン点検のメリットの中で最も注目したいのが「安全性」です。今までは、橋梁点検車や命綱を使用した作業であったため、転落する可能性といつも隣り合わせでの仕事環境でした。しかしドローン点検の場合、地上でドローンを操縦し画像情報を得ることができるので、作業員の落下事故リスクを大幅に減らすことができます。
点検精度を上げられる
いくら熟練した作業員であったとしても、橋梁の形状によっては人間が入り込み確認するのが困難な場所も存在します。しかし、空中で柔軟に動き回れるドローンであれば隅々まで点検することが可能です。また、最先端技術を用いたカメラを搭載することで目視では確認できなかった小さなひび割れや浮きも見つけられるため全体的に点検精度が上がります。
コストを削減できる
ドローン点検が広く受け入れられてきた大きな理由として、従来の方法よりも人的・時間的・金銭的と全ての面でコストを削減できる点が考えられます。ドローンで点検すると通行禁止にする必要がないだけでなく、広範囲をいっぺんに確認できるので一つ一つ目視で点検していた頃に比べ、はるかに短い時間で精度の高い点検を遂行できるようになりました。
橋梁点検でドローンを使用する際の今後の課題
メリットが多いドローン点検ですが、これからの需要の高まりに向けていくつか克服するべき課題もあります。特に、雨や風など天候の影響を受けやすいドローンを使用するため、季節や地域によっては点検するのが困難な場合もあります。また、ドローンの大きさによっては航空法の規制対象となるので、ドローンを使用した点検自体が認められないこともあるようです。
まとめ
昔と比べ橋梁点検でドローンが活躍する機会は格段と増えてきました。解決するべき課題はまだまだありますが、点検・修繕が中心となっている近年では効率化を高められるドローンのような先端技術は私たちの生活の一部となっています。コストをカットしつつ作業員の安全を高め、より精密な点検ができるドローン点検は将来的にもより一層普及されていくことでしょう。